今月の言葉 No.54
伊能忠敬の作った家訓(1791年)
第一 仮にも偽りをせず、孝弟忠信にして正直たるべし
(少しも嘘をつかず、正直にしなさい)
第二 身の上の人は勿論、身下の人にても教訓異見あらば急度相用堅く守るべし
(どんな人のいうことでも役にたつことや、正しい意見であったら必ず用いて守りなさい)
第三 徳敬謙譲とて言語進退を寛裕に諸事謙り敬み少も人と争論など成すべからず。
(言葉と行動を緩やかにして,万事へりくだって、謹んで、少しの争論もしてはならない)
伊能忠敬は佐原の商人、17歳で商家の入り婿となり苦労を重ね、伊能家の資産を3億円から70億円にまでにしたビジネスの達人(井上ひさし著より)、50歳から天文学・暦学を勉強し73歳までに4000万歩を歩き、日本全国の地図を作った人です。この家訓はビジネス時代と後半人生を見事に生きた伊能忠敬の人生哲学です。民主主義の時代でなく身分厳しき封建時代の言葉と思うと頭が下がります。
★足かけ17年にわたる全国測量をおこなった愚直な精神は、現代人には失われているのではないか!効率化、省力化、成果主義が標榜され、短時間で利益をえたいという風潮に対するアンチテーゼの生き方である。また私財を投じて後世に残る事業をやりぬいた人物は、企業家にとっても《世のため人のため》を実践した忠敬は目標にすべき人ではないか。
(伊能忠敬-日本をはじめて測った愚直な人-より)
(青木青眠・従心会倶楽部会員)
※伊能忠敬をより詳しく知りたい方は
ゆい人物館、http://yuijinbutsu.web.fc2.com/ab02_38.html より伊能忠敬でご覧ください