今月の言葉 No42
最近「海賊と呼ばた男」という映画を見た。出光興産を創業した出光佐三を岡田准一が好演しヒットしている。この映画を見た後、出光佐三の「私の履歴書」(昭和31年7月日経新聞)を読んで見た。普通の人とは考えが違う、神戸高商を出たが小さな商店にデッチ奉公をし、友人からは「学校の面汚しだ」と言われる。2年後父の会社が倒産、家族を養うために25歳で独立、機械油を商う。映画では海上で漁船に油を売り込む迫力あるシーンが続く。その後、満州鉄道への油納入に成功、石油専売や海外メジャーのカルテルに対抗し奮闘する様が描かれている。
冒頭の言葉「馘首(かくしゅ)はならぬ、仕事を作れ」は終戦直後中国や満州・南方諸島から1000人の社員が引き上げてくる。重役は首切りを提案する、佐三は《馘首はならぬ、仕事を作れ、社員は家族だ、仲間の首を切り生き延びようとするのは卑怯者の選ぶ道だ。みんなで精一杯やってそれでも食っていけないなら、みんなで乞食になろうじゃないか》…と言い、ラジオの修理や海軍の使っていたタンク底の泥油を汲み出す仕事等で頑張り、石油の配給ができる時を待った。
出水佐三は履歴書の中で「自分は小さい頃、体が弱く読書ができなかった。それ故に何をやるにも考えて考え抜く、これが私の一生だ」と書いている。出水佐三の故郷福岡県宗像郡には宗像神社があり、自分はこの神社の神託を受けている。その証拠に戦中戦後、社員を含め戦禍を受けていない、これは神の加護であると信じている。
トランプ大統領出現後、自分、自国ファーストという言葉が世界に蔓延しつつある。
従心会では《寛容の心》を推奨している。オバマ前大統領はトランプ大統領の就任演説の前に、新大統領の背中に右手をそっと置いた。自分を批判し在任中の《メイン政策・オバマケア》を反故にする人物へ差し出す寛容の手、退任後も支持率60%を越し、人気が上昇している。憎悪に対する寛容、この意味を考えたい思う。